納税対策としても節税対策としても大変効果的なものといえば、贈与です。
事前に贈与をして相続財産を減らせば、節税になりますし、蓄えておけば納税資金になります。
このように、一般に贈与の主たる目的は相続税の回避であるといえます。
ですから、贈与による相続税の回避を防止するために創設された贈与税は、相続税と同じ相続税法によって、「相続税の補完」と位置付けられています。
そして、
相続税の回避を防止するため、贈与税は相続税より重い税率となっています。 基礎控除後の課税価格が3千万円であった場合の税額を比べると以下のようにその差は歴然です。
相続税額 3,000万円×15%−50万円=400万円
贈与税額 3,000万円×45%−265万円=1,085万円
それでも、贈与をした方が確実に節税になるケースがあります。それは、
「
受贈者1人につき年間110万円以下の贈与」をすることです。
贈与税の基礎控除額110万円以下の贈与は、確実に節税になります。
相続開始前3年以内の贈与は相続税の課税価格に加算されますが、結果として3年分は節税にならないだけであって、少なくとも贈与して損をすることはありません。
※相続人以外の者(孫、子の配偶者等)への贈与は、相続税の課税価格に加算せれません。 子・孫10人に10年贈与すれば、無税で1億1千万円相続財産を減らせます。
基礎控除内の贈与をされる際の注意点は、
・(受贈時に申告しないため)相続時に生前贈与の事実が
確認できるようにすること
・「
定期金」の贈与と認定されないようにすること
・争族のもとにならないように配慮すること 等です。
贈与は契約です。贈与者・受贈者ともに贈与の事実を確認し、また、受贈者の口座に振り込むなど客観的な証拠を残しましょう。
定期金贈与の認定とは、「1,100万円を10年に分割して受け取る権利を贈与する」という契約があったと認定されることです。認定された場合、最初の年に1,100万円の贈与があったとみなされますが、実務的には、そのような契約書でも出てこない限り、認定を受けることはないでしょう。
また、特定の者に贈与をする場合などは、後々争いのもとになりえることにもご注意ください。